The Last Station (原題)

アカデミー賞に主演女優賞でノミネートされているヘレンミレンの出演作。
日本ではまだ公開は決まっていないみたいですね。

私も名前くらいは聞いたことのある「トルストイ」を題材にしたドラマです。
その数々の業績から多くの人から神のごとくあがめられているトルストイ。 そこに秘書として派遣されることになった男。 トルストイを妻として独占しようとする妻。 またトルストイを「公」の人間として多くの人間と共有しようとする男などの思惑が絡む,非常に面白い歴史ドラマです。

トルストイが作る遺書が妻や家族を第一に考えたものではなく,女性のエゴで夫を独り占めしようとする妻をヘレンミレンは好演。 男の身からすると,トルストイの立場や葛藤はよくわかりますね〜。

はじめはよくある歴史映画にあるみたいに,その人物を知っていることが前提で勧めていく形式かなと思ったのですが,あくまでも簡単な背景は途中でも折々差し込まれていて,さらに主人公の秘書の視点で勧められていくので,トルストイ自身を知らなくても十分以上に満足できる作品です。

この映画のいいところは,一にも二にも演技です。
ヘレンミレンはもちろん,トルストイを演ずるクリストファープラマー,「サイドウェイ」でもいい演技をしていたポールジアマッティ,そして秘書のジェームズマッカヴォイ。 どれも一級品の演技です。 特に秘書が,神様のようにあがめるトルストイに初めてあうシーンはものすごい演技で,彼の感激がこちらまで伝わってくるようです。

次に音楽がすごくいいですねー。 あまりドラマチックな音楽は使わず,シンプルなピアノの音を上手に使っています。 切なさなどがよく伝わるいい音楽です。

最後に一点だけ残念な点ですが,カメラワークです。 おそらく最近の映画の流行だろうと思うのですが,カメラが固定ではなく,少し微妙に動いています。 遠いショットであればそれほど気にならないのですが,アップのショットなどでは目がすごく疲れます。

映画館で見る価値ありのお薦めの一本!

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