カーズ2 Cars 2

今年のディズニーピクサーの最新作。 「カーズ」の続編です。

天才レーサーのマックィーンとレッカー車のメーターが訪れた“トーキョー”で大事件が発生。さらには、フランス、イタリア、そしてイギリスと、ワールド・グランプリで世界を旅するマックィーンたちが行く先々でスパイが暗躍,というストーリー。

毎回毎回,子供向けというだけの映画ではなく,大人も楽しめるメッセージや物語が2重構造で楽しめるピクサー映画。 とてもいい意味で裏切られました。 コマーシャルや事前の広告などから,今回はさすがのピクサーもダメ映画を作ってしまったか?と思っていました。 ディズニーに併合されて依頼,昨年のトイストーリー3と今回のカーズ2,おもちゃの売り上げのために映画を作るというディズニーの戦略に押されてしまったか?と思っていました。
確かに始まりはそうだったかも知れませんが,トイストーリーと同じく,厳しいプロットの条件の中で最高の映画を作っていると思います。

まず子供の視点から言うと,男の子やクルマなどが好きな子はこの映画は気に入ると思います。 スパイアクションがはじめから終わりまで目白押しだし,とにかく派手!! レースのシーンは前作に比べるとかなりボリュームが少ないのですが,クルマのシーンはそれでもやはり細かいところはうなるほど細かいところに気が届いています。 また「自分らしくいることは悪いことではない」というメッセージはしっかりと織り込まれています。

ただしこの映画,子供向けとしては全体が2時間のおもちゃコマーシャルです,完全に。 これほど効果的なおもちゃコマーシャルはないでしょう。 新しいメカが次から次へと出て来て,スパイのクルマは羽が生えて飛んだり,マシンガンが出て来て撃ちまくったり,子供にとってはよだれものです。

大人にとっては,クルマ好きな人にとっては「く〜,たまんねー」というような映画です。 先ほどのクルマやレースの細かい描写,クルマに引っ掛けた数多くのジョークなど,盛りだくさんです。 え?クルマ好きじゃない人はどうなんだって? さあ…。

今回は日本,イタリア,フランス,イギリスと国をまたいで舞台が移動しますが,どこの国もすごくしっかりリサーチしてますね。 東京の銀座,新宿,お台場のあたりはレースの舞台になるので,若干現実的でない街の景色もありますが,裏道なども含めてかなり細かく描写されてますね〜。

残念なのは,いつものピクサー映画のような「物語性」が少ないことです。 というよりまったくないです。 単純なスパイアクションエンターテイメントになっていて,いつものような各キャラクターの作り込みはまったくないのが残念です。 ただしそのあたりのエンターテイメント映画の質は遥かに凌駕しています。
それと今回主役のメーターがとにかくうざったい! キャラクターとしてもいつも無知でばかなことを言っているというもののため,主役に持ってくるとすぐに飽きがくる。 中盤以降はかなりいらつきましたねー。 子供に人気があるキャラクターだから主役にもってきたんでしょうが…。

ということで,続編が作りようもない映画の続編を作らされたピクサーはかわいそうですが,その限られたなかでも最大限以上の仕事をしたピクサーに脱帽です。 さすがの一言ですね。 でも1作目から思っていることですが,このストーリーと世界観,クルマじゃなくてもいいと思います。 たとえばモンスターズインクはあのストーリーが成立するためにはモンスターでなくてはいけないし,トイストーリーはあのストーリーが成立するためにはおもちゃが主役でなくてはならない。 でもこのシリーズはクルマじゃなくても,クルマにフツーの人間が乗っていてもこの物語は成立する。 この一点であんまり好きじゃありませんね…。

でもエンターテイメントを求めているならお薦め!!!!!!

男たちの大和/YAMATO

邦画「男たちの大和」です。

鹿児島の枕崎漁港に一人の女性が訪れた。 その女性は、戦艦大和が沈没した地点へ連れて行って欲しいと頼み回るが、漁師達は相手にしてくれない。 そんな漁師の中に、水上特攻時に大和の乗組員として乗艦していた神尾克己がいた。一度は真貴子の頼みを断るが、彼女が自分の恩人であった内田兵曹の養女である事を聞かされる。 彼女の頼みを聞き入れる事にした神尾は、大和の沈没ポイントへと出航した。そして、ずっと閉ざしていた口を開き、過去の事をあまり語らなかった内田兵曹の話を彼女に語り始めるのであった、というストーリー。

なかなか邦画にしてはがんばったかな、という作品です。 戦艦大和のセットは6億円くらいかけて作ったものらしく、確かに「すげー!」と子供のように関心してしまいました。 それに家族たちのいる内地と戦場の対比なかなか良く出来ていたなと思います。 それに単純な反戦映画になっていないところはかなりグッド。 逆に、戦場に赴いた人たちそれぞれの思いがあり、その人たちの犠牲の上に今の日本がある、というメッセージになっているかと思います。

最後の方のシーンで、一人生き残った松山ケンイチに、遺族の母が「のこのこと一人だけ帰ってきて・・・!」とののしるシーンがあり、その翌日、松山ケンイチが土下座をして「一人だけ帰ってきてごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」というシーンはよかったですね~。 松山ケンイチは最近注目している役者の一人です。 いろんな役をやっていますが、同じような演技だったことは一度もないですねー。 個人的な好みはデトロイトメタルシティですかね。

逆に、CGや特殊効果などはヘナチョコもいいところです。 かなり興ざめです。
もうちょっと金かけてでもいいモノを使わないとせっかくの映画が台無しです。 って、大和のセットにお金使いすぎて、CGに使うお金がなくなっちゃったのか? それと血のり、ぜんぜんリアルに見えません・・・。

北の国から 2002遺言

「北の国から」テレビスペシャル,およびシリーズ最終作です。

聞いたところによると,テレビシリーズのときからのスタッフも年を取り,引退し始めてなかなか難しい状況になってきて終わらせることが決まったとか。

富良野では螢が3歳になる息子の快を育てながら、看護婦の仕事をしている。五郎は体の不調を感じ、螢の勧めで検査を受ける。そして今後の事を考えて、遺言を書き始めるのだった。一方、草太から引き継いだ牧場を潰してしまった純は、多額の借金を残して富良野を去り、今は羅臼で暮らしていた。ある日、結という女性と知り合い、好意を抱く。しかし彼女に弘という夫がいると分かり窮地に立つ純は……。(DVDパッケージより)

まずはじめに言わなければならなことはタイトルの「遺言」にだまされてはいけない,ということです。
ほとんどの人が騙されたのではないかと思いますが,五郎が病気か何かになって死んで後に遺言が残る,というストーリーかなと勘違いしてしまいました。 勝手に勘違いした方がいけないのですが…。

ですが五郎は体調は悪くなるものの死にません。 でも劇中での「遺言」の使い方,なかなかいいと思います。 自分も後で考えてしまいました。 つまり自分が死んだ時のために,いつでも遺言を書くというものです。 それにより自分が死んだ後のこと,家族や友人のことをつねに考えておくというものです。 元学校の校長先生に遺言の書き方のコーチを受けるのですが,その人から「自分がいなくなったあとのことを考えながら買いてみなさい」を言われる。 確かにそうです。 遺言の書き方だけということではなく,そういうものを常に意識しておくということは大事なことかな,と。

遺言を下書き練習をしている時に,五郎はそのことに想いを馳せて一人号泣するわけですが,ここはすごくよかったですね〜。 さすがとしかいいようがありません。 それと最後に富良野を離れて消息が分からなかった正吉を訪ねて螢と息子が富良野から出て行く,というところがありますが,その電車を五郎が泣きながら追っかけるシーン。 ここもよかったです。 (最後のシーンですし) ストーリー的には「またすぐ帰ってくればいいじゃん」とツッコミを入れてしまいますが。

今回螢サイドのストーリーはあんまり展開はないかなと思います。 消息不明の正吉を待ちながら子育てをしている。 そして体調を崩した五郎を心配している,というくらいです。 でも劇中の子供は螢の実生活の子供ということで,子供がいなくなったかもしれないというシーンでは迫真の演技でした。

一方,純は草太から継いだ牧場がつぶれてしまい,羅臼へ引っ越している。 ここまでのところ,かなり劇的なストーリーがあるのですが,あっさりとナレーションだけで済んでしまっている。 ちょっと寂しいかなと思います。 ですが今回は純が羅臼で知り合う人と結婚に至るまでのハナシなので,それも仕方ないかなと思います。 でもそれにしても純は本当にいい加減なヤツですよね…。

今までふらふらと流されるように生きて来た純ですが,今回ついに「これじゃいけない,逃げちゃいけない」と改心します。 が,きっかけは人妻に手を出して(知らなかったとはいえ),そのダンナと仲間にボコにされたから。 おいおい,きっかけはきっかけだけど,もっときっかけは過去にもあったんじゃないの?と思います。 それと内田有紀が純の今回の相手役ですが,やっぱり「純のどこがいいのかな…」と思ってしまいました。 何かこれっていう出来事があれば,普段はそれほど冴えなくてもいいんですがね。

やっぱりシリーズ最後の数作は失速気味なのは否めませんね〜。 でもこれで最後だと思うとやっぱり寂しいです。
長い間お疲れさまでした。

北の国から '98時代

「北の国から」テレビスペシャル。

純は、シュウが突然実家に帰ってしまい、不安な日々を過ごしている。五郎は有機農法に取り組む農家を助け、アドバイスを送るが、草太は、そんな五郎のやり方はおかしいと、科学の力でどんどん自分の農地を拡げて行く。そんな折、落石で暮らしているはずの螢が何故か富良野に現れる。螢が身ごもっていることを知った草太は、正吉を呼び出し、螢に結婚を申し込めという。(DVDパッケージより)

今回のエピソード,とにかく長い!!! 不必要に長い!!
全後半合わせて5時間くらいあったと思います。 最後に正吉と螢の結婚式があるのですが,ここで出席者全員が過去のことに想いを巡らせて,テーマ曲が流れるのですが,10分くらいあったんじゃないでしょうか? 正直,眠くなってしまいました…。

次にこの回から急に五郎の家が完璧に出来上がっていたり,有機農法などを手がけていたり,急に前回までの危うさや大変さなどが消え失せて,しっかりと自立農家として周囲にまでアドバイスしてしまっている。 家を一軒ひとりで立てるのってもっと大変ないじゃない? もっと時間かかるんじゃない? 実質春から夏までしか作業できないわけだし,と思ってしまいました。

今回は草太にいちゃんの割合がかなり高く,科学的なビジネス農法でどんどん手を広げて行き,五郎のやり方とは対照的。 そして妊娠した螢と正吉をくっつけようと,正吉に直接結婚しろという。 確かに草太にいちゃんっぽいキャラクターなのだが,何か行き過ぎなような気がする。 前回まで正吉が螢に対して異性としての興味を示していなかった分,ここで無理矢理,正吉が螢に結婚を申し込む理由を作った気がします。 それに正吉がせっせと花を螢に送ったりしてるシーンはあるのですが,実際に螢がプロポーズに対してOKするシーンは無い…。 やっぱりヘンかなと。

今回のエピソードでよかったのは,草太にいちゃんが事故で死に純が号泣するところ。 ここも異様に長いのが気になりましたが,演技はよかったですねー。 それと正吉と螢が結婚の報告に五郎のところへ行き,五郎ははじめ言葉がなく,徐々に亡き妻れいこの写真の前でうれし泣きをするシーン。 またそこの純のナレーションはすごくよかったです。

きついようですが,それ以外は早送りしてもいいかな,と思うくらい長かったです。
非常に残念…。

北の国から '95秘密

「北の国から」テレビスペシャル。

東京から富良野に帰り,ゴミ収集の仕事をする純は札幌のれいと遠距離恋愛を続けているが、二人の間はぎくしゃくしていく。 そんな時シュウに出会い、純は彼女に惹かれていき、五郎も二人を暖かく見守っている。 一方、札幌で看護婦をしている螢は、妻子ある男性と駆け落ちしてしまう。ある日シュウが以前AV女優をしていたことを知った純は…(DVDパッケージより)

このあたりから,アメリカのソープオペラを彷彿させるような演出というかストーリー展開になってきたかな〜と思います。 非常に残念なんですが…。

序盤でれいちゃんにフラれ,彼女は結婚してしまうわけですが,そもそも純のことなんでそんなに長い間好きだったのかな〜と思ってしまいました。 シュウはなんとなく分かります。 シュウ自身も富良野に出て来たばかりで友達が欲しかったし,純と同じく東京に住んでいたということで,ハナシが合うなどなど。

シュウが元AV女優だったいうのが今回の「秘密」のひとつだと思いますが,これにハラを立てる純の器量のせまさにちょっとハラが立ちます。 そもそも純と合う前よりずっと前のハナシだし,過去を変えられるわけでもないし。

でも宮沢りえは色白だし北国っぽい肌だと思うのですが,あの演技がちょっと浮いてますね。 「そーおなんだ〜♡」みたいな。 でも純が何か隠してることがないか(AV女優のこと)という場面で,彼女が「私が何を隠してるっていうの?」というシーンはかなりよかったですね。

一方,螢は同じ病院の医師と不倫をし,駆け落ちをしてしまうのですが,これはさすがにいきなり過ぎるのでは???とクエスチョンマークです。 せめて前作などで前振りをしておいて欲しかった。 あまりに突拍子がなさすぎて…僕にはにわかに信じがたいハナシだと思われ…。

しかも駆け落ち先が,北の果ての地で,日本海の身も凍るような風がびゅうびゅう吹き,波がざざーん,海岸では昆布を干している漁村,あばらやが立っているようなところで演歌がまた似合いそうな…。 よくもこんなところを見つけたものだと思います。

螢の鉄面皮のような演技が全編を通して気になっていたのですが,それはどうやら最後に五郎に駆け寄り「本当は毎日泣いてるの!!」というシーンへの伏線だったようです。 ここはよかったですね。 でも駆け落ち相手の医者が全く出てこないので「じゃあヤメて帰ればいいじゃん」って思ってしまいます。

今回は今までのテレビスペシャルを続けてみてるので,どうしても前作を比較してしまいます。 そうするとやっぱり残念ですがちょっと弱いですね…。

北の国から '92巣立ち

「北の国から」テレビスペシャル。

五郎は富良野で寂しい一人暮らし。旭川の看護学校を螢が卒業して地元の病院に勤める日を心待ちにしている。そんな父の思いを知りながらも将来に悩む螢は、勇次とのデートを重ねていた。東京のガソリンスタンドで働く純は、タマコに出会う。札幌のれいとの遠距離恋愛に疲れた純はタマコと深い関係になっていく。そんなある日タマコの妊娠を知った純は… (DVDパッケージより)

このあたりから,だんだん純と螢もドロドロになっていったかな,と思います。 ドロドロというよりも後ろめたいモノを常に抱えている状態になってきたかな,と思います。

純は,北海道のれいちゃんと電話+ビデオデートのみで,もんもんとする毎日。 仕事は相変わらず肉体労働で,特にこれといった趣味もなし,というつまらない生活をしていて,そんななかでトロ子と出会い,気持ちは一切ないのに深い関係に入って行く,という流れ。
若いときには陥りがちな穴を,またしても泥臭い表現をする倉元マジック。 妊娠・中絶したトロ子の東京での保護者となっている叔父のところへ(菅原文太っていうところが既にコワい)カボチャをいくつも持って誤りにいく五郎。 そんな彼に「誠意って一体何かね?」と問う叔父。 ここが今回のエピソードの山場かなと思います。

一方,螢は父の思いを知りつつ,富良野を通り過ぎてボーイフレンドに会いに行っている始末。 後ろめたい気持ちは富良野を通り過ぎる時だけであとはハッピー,というのはとても分かります。 ここも自分勝手な人間性の暗い部分をさっくりとさらけ出しています。 この当たりでは,螢にも以前より焦点が当たるようになってきていて,新鮮でよかったですね。 螢のナレーションも入ってきてます。

一方,最後の方で五郎が自己に会い,雪の中で半分凍死しかけるのですが,ここで妻のれいこ(いしだあゆみ)の幻影を見ます。 五郎は「あいつら(子供たち)は自分で責任取りたがってる。 オレはもう必要ないのかな…」というとれいこは「まだ飛び立つには早い。 私たちの巣を守って。 帰るところを守って」と言い,消えてしまいます。
正直,ここはクサすぎてかなりサメてしまいました。 死人を持ち出すようになったか???と。
確かに,ここは足を挟まれ回りに何も無いところでも何とか生き延びる生命力の強さを持ってる五郎のすごさを見せつけるシーンなのですが,この死人持ち出しはちょっと………。

でも確かに見終わった後に「誠意って何だろう」と思ってしまうほどのチカラが演技と脚本にはありますね。

北の国から '89帰郷

「北の国から」テレビスペシャル。

中学を卒業し、旭川の看護学校へ通う螢は、通学の電車の中で知り合った勇次と交際を始めた。一方東京で暮らす純は、あこがれの400ccのバイクをを手に入れるが、実は盗難車で警察に事情を聞かれる。 そして純は、とても大切にしていた五郎からもらった泥のついた一万円札を盗まれたことがもとで、傷害事件を起こしてしまう。(DVDパッケージより)

今回は蛍にも好きな人ができ、だんだんと五郎に隠し事も出来てきて、面白くなってきます。 そのボーイフレンドの勇次も富良野から出て行ってしまうのですが・・・。 でも川岸の木に「H・Y」って彫るのって・・・。 いくら80年代でもやらないのでは?と思ってしまいましたが・・・。 それはよしとしましょう。

純は東京という街や多くの人に揉まれて、精神的に疲れていきます。 そんななか「泥のついた一万円札」が盗まれ、というシーンは気持ちはすごくわかりますね。 今でこそ「おいおい、ちょっと冷静になってそれから人を疑えよ、純」と思いますが、自分があの年頃だったら、多分あーいうふうに突っ走ってしまったんじゃないかなと思います。 そういえば当事はまだ「不良」のシンボルでしたねー、髪を染めたりバイクに乗ったり。

前回、家が夜逃げしてしまったれいちゃんと再開できますが、髪型あんまり似合わないですね。 80年代後半から90年代前半の流行だったと思いますが。 それにしても純とれいちゃんは、中学からの付き合いですが、元から一緒になる運命じゃなかなったのかなと思います。

今回のエピソードの中で好きだったのは、雪子おばさんのだんなさんが純に対して、ケンカの理由も聞かずに頭ごなしに叱るということに対して、五郎は理由だけを聞き「それが人を傷つけてまで守りたいものだったなら、それで仕方ないじゃないか」というところ。 とってもわかりやすい対比ではあり、つい相手の話や理由も聞かず頭ごなしに怒ってしまうのはついつい誰もがしてしまうこと。 気をつけたいものです。

それと五郎が作り始めた丸太小屋を手伝いたいという純に、手伝わせないという五郎。 五郎の気持ちの方により共感できますね。 もちろん純に東京でしっかりがんばれという気持ちもあってのことだと思いますが、自分だけの楽しみだからいくら子供でもそれは奪わせない、というのはすごくわかります。

これは少年から青年へと、少女から女の子へと移り変わっていくエピソードですね。 前後のエピソードが目立つので、地味なカンジがする回ですが、結構重要なステップかなと思います。

北の国から '87初恋

「北の国から」テレビスペシャル3作目。

純はある農家の娘、れいに出会い一目惚れしてしまう。東京の定時制高校に行きたいと言うれいに影響され、純は東京に行く決意をする。五郎の誕生日に風力発電を贈った純と螢。しかし五郎は自分に相談もせず東京行きを決めた純を責める。(DVDパッケージより)

またまた思春期の心理をすごく上手に把握し表現している作品ですね〜!
好きな女の子の言葉に影響され,彼女と一緒に東京へ行こうと決心する純。 自分に何の相談もなく東京行きを決めた純に腹を立てる父,五郎。 その間に挟まれて(いつものように)しまう螢。 それぞれの気持ちが痛いほど分かります。 それにしても中学1年生くらいのはずなのに,螢は家事を全て引き受けて大変ですよねー。 後で富良野から離れて暮らしたいっていう気持ちは分かります。

やっぱりこのエピソードは大里れいちゃんがとにかくかわいい。 野暮ったい田舎と対比するようなルックスの横山めぐみをキャストしたのはグーです! それにこの時流行っていた尾崎豊などを使ったのはよかったですね。 ちょうど純と同い年の世代なので,すごく分かります。 でもいくら通り雨で土砂降りになったからって,中学生くらいの子が納屋みたいなところで下着だけになるかな?と素直に思ってしまいましたが,それはいいとしましょう。

個人的には,草太が純に「男ならいたわられれば傷つく」というところは好きです。 特にお金のことで気を遣われて,相談されないっていうのは男の自尊心が許さないだろうと思います。

それとありきたりだと思いますが「ドロの付いた1万円札」は涙なしでは見られません!! アメリカ人のヨメは当然このシリーズを見た事ないのですが,この「ドロの付いた1万円札」を説明しているそばから,目がうるうるしてしまいました。

か・な・りお気に入りのエピソードです!!

北の国から '84夏

「北の国から」テレビスペシャル2作目です。

純と正吉は、東京から遊びにきた努が自由自在にパソコンを操作するのを見て時代に取り残されていると思いショックを受ける。 しかも努に父・五郎を侮辱された純と正吉は思わずパソコンの本を盗むが、それがきっかけで二人はケンカしてしまう。「やっぱりお前はキッタネエやつだなア!」正吉の捨て台詞にドキッとする純。数ヶ月前の丸太小屋の火事のことが純の脳裏をよぎる…というストーリー。

このエピソード,かなり好きです。 主に純と正吉の関係に焦点が当てられているエピソードです。 このくらいの年頃によくある,友達のちょっとした無神経な一言がずっと後を引いたり,心の中にある罪悪感の葛藤など,すごく赤裸裸に表現しているエピソードです。

やっぱり正吉の「やっぱりお前は汚ねえヤツだな!」というセリフ。 この「やっぱり」の部分にドキッとさせられます。 振り返ってみると,自分も似たような経験があるので…。 それに丸太小屋の火事とそれをかばっていると思われる正吉の発現,パソコンの本の事件,いかだと努の事件など純の罪悪感は否応なしに高まっていき,最後のラーメン屋の告白シーンへとつながります(下記のビデオクリップ)。 この積み木のような組み立て,ストーリーとしてのスムースさ,う〜んいいですね〜。 純の罪悪感がひしひしと伝わって来て,見てるこちらが潰されそうです。

上記はもちろん,ラーメン屋での五郎の告白も実はかなり好きです。 毎日の仕事などで疲れたりするとふと同じようなワナにハマってしまいます。 うーん気をつけないと…。

北の国から '83冬

「北の国から」をDVDで見ています。 (Rさん、ホントにありがと!!)

離婚をして東京から北海道、富良野へ小さい子供二人を連れて引っ越してきた父親、五郎。 長男の純、長女の蛍、この3人を中心に大ヒットしたドラマの特別編。

「五郎が出稼ぎから帰ってきたその日、純の友達・正吉が家出した。心配する純と螢。一方、開拓時代に成功して東京に出た伝説の老人・沢田松吉が30年ぶりに富良野へ戻ってきた。村はその話題でもちきり。そんなある日、突然五郎に事件が起きる。正吉の母・みどりの借金を代わりに払えと、700万もの借用書を突きつけられた…!(DVDパッケージより)」というストーリー。

正直、ドラマの時はあまりしっかり見た記憶がなく、この特別編あたりからの記憶はかなり残ってる。 特に純と自分は同年代なので、感じ方やその時の流行などはホントにしっくりくるものがあったね~。 当時は、自分も子供だったので、電気や水道などにも不自由する五郎の暮らしをドラマでみて、多少なりとも「北海道にはこんな暮らしをしてる人がまだいるんだ」と半ば信じていました。 北海道の人、本当にすみませんm(_ _)m

全編を通してかなりの頻度で語られる「借金」。 確かに借金はかなりヘビーだし、人間関係を壊すもとにも十分なりうる。 このエピソードでも、五郎が連帯保証人に簡単に同意してしまったばっかりに、にっちもさっちもいかなくなってしまう。 そのとらわれて身動きできなくなっているカンジを実にうまく表現していますよね! その落とし穴に突き落とした当の本人もどうしようもない、でも五郎に申し訳ない、故郷に顔向けもできない、などの表現が実によく出来ていと思います。

富良野の初期の開拓者でもある松吉じいさん(笠智衆)の演技も非常によく、後半でボケながらも昔の仲間を思い出しながら、また豆まきをしようとするところは、本当に切なくなってしまいます。

このエピソードだったか次の84夏だったか、年賀状が居候の正吉のところには当然届かなく、純と蛍のところへは届いているのをうらやましがっているのを知った蛍が、後で正吉に年賀状を出すというところは好きですね! まだこの時点で小学生の中学年のはずの蛍が台所を切り盛りし、他の人への気配りもしっかり出来ているというキャラクター設定がすきです。 後々にちょっと外れた方へ行くときの布石にもなっているかな、と。



おっと間違えた・・・。
ホンモノはこっち。