カーズ2 Cars 2

今年のディズニーピクサーの最新作。 「カーズ」の続編です。

天才レーサーのマックィーンとレッカー車のメーターが訪れた“トーキョー”で大事件が発生。さらには、フランス、イタリア、そしてイギリスと、ワールド・グランプリで世界を旅するマックィーンたちが行く先々でスパイが暗躍,というストーリー。

毎回毎回,子供向けというだけの映画ではなく,大人も楽しめるメッセージや物語が2重構造で楽しめるピクサー映画。 とてもいい意味で裏切られました。 コマーシャルや事前の広告などから,今回はさすがのピクサーもダメ映画を作ってしまったか?と思っていました。 ディズニーに併合されて依頼,昨年のトイストーリー3と今回のカーズ2,おもちゃの売り上げのために映画を作るというディズニーの戦略に押されてしまったか?と思っていました。
確かに始まりはそうだったかも知れませんが,トイストーリーと同じく,厳しいプロットの条件の中で最高の映画を作っていると思います。

まず子供の視点から言うと,男の子やクルマなどが好きな子はこの映画は気に入ると思います。 スパイアクションがはじめから終わりまで目白押しだし,とにかく派手!! レースのシーンは前作に比べるとかなりボリュームが少ないのですが,クルマのシーンはそれでもやはり細かいところはうなるほど細かいところに気が届いています。 また「自分らしくいることは悪いことではない」というメッセージはしっかりと織り込まれています。

ただしこの映画,子供向けとしては全体が2時間のおもちゃコマーシャルです,完全に。 これほど効果的なおもちゃコマーシャルはないでしょう。 新しいメカが次から次へと出て来て,スパイのクルマは羽が生えて飛んだり,マシンガンが出て来て撃ちまくったり,子供にとってはよだれものです。

大人にとっては,クルマ好きな人にとっては「く〜,たまんねー」というような映画です。 先ほどのクルマやレースの細かい描写,クルマに引っ掛けた数多くのジョークなど,盛りだくさんです。 え?クルマ好きじゃない人はどうなんだって? さあ…。

今回は日本,イタリア,フランス,イギリスと国をまたいで舞台が移動しますが,どこの国もすごくしっかりリサーチしてますね。 東京の銀座,新宿,お台場のあたりはレースの舞台になるので,若干現実的でない街の景色もありますが,裏道なども含めてかなり細かく描写されてますね〜。

残念なのは,いつものピクサー映画のような「物語性」が少ないことです。 というよりまったくないです。 単純なスパイアクションエンターテイメントになっていて,いつものような各キャラクターの作り込みはまったくないのが残念です。 ただしそのあたりのエンターテイメント映画の質は遥かに凌駕しています。
それと今回主役のメーターがとにかくうざったい! キャラクターとしてもいつも無知でばかなことを言っているというもののため,主役に持ってくるとすぐに飽きがくる。 中盤以降はかなりいらつきましたねー。 子供に人気があるキャラクターだから主役にもってきたんでしょうが…。

ということで,続編が作りようもない映画の続編を作らされたピクサーはかわいそうですが,その限られたなかでも最大限以上の仕事をしたピクサーに脱帽です。 さすがの一言ですね。 でも1作目から思っていることですが,このストーリーと世界観,クルマじゃなくてもいいと思います。 たとえばモンスターズインクはあのストーリーが成立するためにはモンスターでなくてはいけないし,トイストーリーはあのストーリーが成立するためにはおもちゃが主役でなくてはならない。 でもこのシリーズはクルマじゃなくても,クルマにフツーの人間が乗っていてもこの物語は成立する。 この一点であんまり好きじゃありませんね…。

でもエンターテイメントを求めているならお薦め!!!!!!

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