幸せのちから Pursuit of Happyness

ウィルスミスと実の息子が競演したことが話題になった記憶も新しい「幸せのちから」です。
大不況だった80年代前半に,何もかも失った男とその息子の実話を元にしたストーリーです。

新型医療機器のセールスマンとして生計を立てるクリス(ウィル・スミス)は、大儲けを見込んで買い取った機器を思うように売ることができず、家賃や税金を払えない状態に陥ってしまう。 妻のリンダ(タンディ・ニュートン)にも去られた彼は、証券会社の正社員を目指して養成コースを受講しようとする,というストーリーです。

あらすじを見るとシンプルなアンラッキーな人の映画に見えますが,実は今回の不況にも通じる部分がたくさんあり,かなりリアルな感触をもって見ていました。 働けども働けどもお金にはつながらず,稼いだお金は全部それまで溜め込んでいたものの支払いですぐに消えてしまう。 自転車操業とはこのことです。 無給のインターンシップで証券マンとしてのトレーニングを積む一方,日銭を稼ぎ,5歳の子供を抱えとにかく一日一日を必死で生きていきます。

多少,軌道に乗って来たと思ったら,税金の未払いのお陰で無一文に…。 一気に駅のトイレなどで子供連れで過ごしたり,ホームレス用のシェルターなどで寝泊まりを始めます。 大人の男一人でさえ大変な状況なのに子供連れとは…。 とにかく絶句です。 私も2009年から数ヶ月,不況のあおりを食って仕事がない状況が続いたので,本当に仕事がないつらさとかが痛いほど分かります。

ストーリーは実話を元にしたものですが,それを支えるのはスミス親子の演技です。
ウィルスミスの演技は若干いつもと同じような印象を受けましたが,息子の演技により厚みが加えられていたような気がします。 息子(名前忘れた…)の演技はかなりのもので,セリフの棒読みなどは一切なく「映画や演技だと知らずに(そんなワケはないのですが)セリフを言ってたんじゃないか?」と思ってしまうほどです。

ウィルスミスのセリフでぐっと来るのは次のセリフ。 「子供のころ学校にいっていたときは,ちょっとアタマがいいと天才だとか言われて,色々となりたいもの(職業)を思い描いていたもんだ。 でもいざ大人になってみると,そのどれにもなっていない」 すごく現実的で考えてしまうセリフでした。

お薦めの一本。 でも見るときにはあんまりローな気分でない時に…。

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