借りぐらしのアリエッティ The Secret World of Arrietty

スタジオジブリの「借り暮らしのアリエッティ」です。 宮崎駿が監督かと思ったら企画だけだったみたいですね。 監督は別な人です。

本を原作にしたものですが,舞台がもとはイギリス。 それを日本へ舞台を移し,病弱な少年との出会いが話の核になっています。

古い家の台所の下に住み、暮らしに必要なものはすべて床の上の人間から借りてくる借りぐらしの小人たち。そんな小人一家の14歳、アリエッティは、好奇心と伸びやかな感性を持つ少女。だが、人間に見られないよう、目立たないよう、つつましさと用心深さを求められる毎日を送っていた。 そんな時,その家に移って来た少年に姿を見られてしまう,というストーリー。

全体的にはかなり静かな映画です。 音楽も割と静かなもので,ストーリーも淡々と進んで行きます。 周囲に仲間がいない孤立した小人の家族と,両親から半ば見捨てられ,生き死にを分ける手術を間近に控えた少年という,どちらも絶滅(=死)に向かって進んでいるという点では似ている両者ですが,映画全般としては盛り上がりに欠けた作品と言わざるを得ません。

かといって,それが悪いということではなく,フランス映画のように淡々と進んでいき,かつエンディングはあさりという,ある意味少しユニークな作品だと言えるでしょう。 その観点からいうと,従来のようなジブリ作品やハリウッド映画のような盛り上がりは期待しない方がいいと思います。

小人の家族が人間世界の家に入り,色々なものを「借り」にくるのですが(実際はドロボー),彼らの目線から見た人間世界の巨大さなどは,すごく表現がウマく関心しました。 あたかもグランドキャニオンの崖っぷちにたつ人間が自分のちっぽけさを実感するのに似ています。 またこの家族が人間の家の壁などのウラに,自分たちの家や階段などを作り上げているのは,ジブリは相変わらずウマいと思いましたねー。

ただ見ているうちにどうしても感じてしまうのは,小人家族を目の敵のようにしている家政婦さん(樹木希林さんが声をやっていて,キャラクターと本人の印象がよく似てる!)この人がなんでここまで小人退治にやっきになるのか,という動機付けのようなものが弱く感じたため,「なんでこのおばさん,ひとりでいきり立ってんだ?」と思ってしまいました。

今回ちょっと残念なのは,ジブリ作品に必ずある「大勢が大声で笑うシーン」と「空を飛ぶシーン」がなかったことです。 ジブリ映画のこの「大笑いシーン」は僕は大好きで,いつも見ると爽快な気分になるんですよね。 それに空を飛ぶシーンはどの作品をみても痛快で,いつもジブリ映画を見終わった後には「あー,空を飛びたいな〜」と思っています。 この二つがなかったのはかなり痛かったですね…。

正直,この「アリエッティ」はかなり期待していたので,ちょっと残念な点が目立ちました。




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