ホビット 思いがけない冒険 The Hobbit: An Unexpected Journey

「ロードオブザリング」のピータージャクソンが送る「ホビット」の3部作。
ホビットは「ロード…」の前の時代にあたり、子供向けに書かれた本が原作です(これは結構大事)。

ホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)は、魔法使いのガンダルフ(イアン・マッケラン)から思わぬ旅の誘いを受ける。それは、ドラゴンに乗っ取られたドワーフの王国を奪取するというものだった。ドワーフの戦士トーリン(リチャード・アーミティッジ)が率いる13人のドワーフたちと、最初の目的地“はなれ山”を目指してワーグ、オークといった怪物や魔術師がひしめく中を進む一行は目的を達成できるのか?というアドベンチャー映画。

ピータージャクソン、「ロード…」とのギャップを埋めようとかなり工夫したのが見受けられますね。 というのは、「旅の仲間」の始めの直前の年老いたビルボとフロドの会話から始まり、「ロード…」とのつながりを持とうとしています。 ホビットそのものは子供向けの痛快冒険物語なのですが、「ロード…」のダークな雰囲気も持ち込もうとしています。

始めにドワーフの一行がビルボの家に集まるシーンは確かに楽しい雰囲気もあり「これから冒険に行くぞ〜」的と冒険心のあまりないビルボの「冒険になんか行きたくない」という心情を対照的に示します。

それに一旦出発すると冒険が次から次へと降り掛かります。 特に3人のトロールとのシーンは山場といって良いのではないでしょうか? またゴラムとのナゾナゾのシーンはまたアドベンチャー映画としては楽しいものです。 「ロード…」とのつながりを大事にしたのは分かるのですが、もうちょっと雰囲気を明るくしてもよかったのかな、とも思いますね。

ビルボ役のマーティン・フリーマンは、最近ではイギリスのテレビドラマ「シャーロック」や「オフィス」などですごく有名で、僕も好きな役者なのですが、今回のビルボ役はハマり役にも関わらず、演技というかキャラクターが上記作品とかぶる演技なのがちょっと気になりました。 役に併せた演技が充分以上にこなせるはずなのにちょっともったいない気がしましたね。

また今作は公開前から高解像度や3Dが目にきついと評判で、特に3Dは気持ちが悪くなる人もいたとか。 

おっと、それから13人もドワーフはいらない!!!!!!!
もちろん原作がそうなってるからなんですが、全員覚えられない!!! 2、3人のドワーフだけ覚えておけばストーリー的にはいいでしょう。 セリフが多い数人だけ覚えておけばOKです。 それと英語のアクセントがそれぞれ強くて、一回じゃ何て言ってるのか分からないところが多い。 前回の「ロード…」と同じく、数回見ないと完全には理解できないかな…。

それでも最近の映画よりは完成度も高く、満足度はかなり高いですね!!
オープニング日の夜中12時に見た甲斐はありますね!! アメリカでは金曜日に公開する映画の初日は、木曜日の夜中12時を少し過ぎた時間(12時10分などで、厳密には金曜日)に公開スタートします。

「ロード…」はファンタジーというよりは人間ドラマというカンジですが、ホビットはもっとファンタジーの要素が強い映画です。 ファンタジーが嫌いな人はちょっと合わないかも知れませんね。 でもお勧めの一本!!!

アベンジャーズ The Avengers

マーベルスタジオ(=ディズニー)のアクション大作映画。 興行成績で確か記録を達成したブロックバスタームービーです。

地球外から来たひそかに進められる地球壊滅の陰謀。それを食い止めるべく、大富豪で天才発明家アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr)、神々の国から地球ヘと追放された雷神ソー(クリス・ヘムズワース)、感情の爆発によって容姿を激変させる科学者ハルク(マーク・ラファロ)などを集めた部隊アベンジャーズが結成される、というストーリー。

最近のアクション映画にしてはあくまでもアクション一本にしぼった「純正スーパーヒーローアクションムービー」と言っていいでしょう。 最近のアクション映画は、バットマンシリーズなどに見られるように何かを意味付けをしたがったり、理由付けなどをしたりして、ダラダラとセリフをしゃべるシーンが多かったりするのが目立っていたのですが、これはそのような余計な要素は完全に排除し、純粋なアクションムービーに徹しています。

また何人かのスーパーヒーローが出ているのですが、ロバートダウニーのアイアンマンがメインに近い位置だと思うのですが、彼のキャラクターが出ているシーンではウィットやユーモアなどがあり、アクションとの対比によって映画全体が引き締まっていますね。

それと個人的にはスカーレットヨハンソンのキャラクター「ブラックウィドウ」のアクションはいいですね〜。 CGだけに頼りすぎないところはグッドです。 他のスーパーヒーローはみんなCGで作られたキャラクターなので。

CGがない映画は今では皆無と言っていいと思うのですが、そのお陰で派手なアクションに対する評価が下がってしまったのではないでしょうか? どんなに凄いアクションを見ても「どうせワイヤーで吊ってるんでしょ?」とか「へー、すごいCGだな」とか…。 アクション俳優にはつらい時代ですね…。 ジャッキーチェンのようなカラダをはったアクションが恋しいです。

この続編も制作決定していて、さらにここから各スーパーヒーローがスピンオフでもっとシリーズを広げられるわけです。 まったくもって商売がうまいというか、えげつないというか…。 最近はディズニーの動きのひとつひとつが見え見えでちょっと覚め気味です。 次はスターウォーズとスーパーヒーローの夢の競演か???

この映画、一見の価値ありです。

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望


織田裕二の代表作のひとつとなった「踊る大捜査線」シリーズの最新作,かつ劇場最後の作品。 前作の「ヤツらを解放せよ」がずっこけだったらしく(確かにぜんぜん面白くなかった),そこからの汚名挽回が期待されます。

警官による銃撃射殺事件が起き,湾岸署を警官が犯人だという事実を知らぬまま捜査が始まるが,警察上層部はそれを隠蔽すべく動き始める。 6年前に発生した誘拐事件と関わりがあると判明するも,真下の子供がその誘拐事件と同じように誘拐されてしまう,というストーリー。

普段はあまり邦画はあんまり見ないんですが,これは終止ハマりましたねー。 冒頭の唐揚げ屋さんは「あれっ? これって夢オチ?」と思わせるところから始まり,中盤までひっぱる「ビール事件」はテレビシリーズなどのコミカルさをそのままうまく再現していますね。

犯人の一人「クゼ」は早い段階から犯人だと分かるのですが,顔を全て見せずに最後の最後までひっぱります。 俳優は香取慎吾なんですが,この演出は抜群によかったですね〜。 香取慎吾は個性も強いので,あまり早い段階から見せ過ぎてしまうよりは,最後の見せ方はかなり効果的だったと思います。 それに彼は最近,あーいう役所がうまくなってきたなと思います。 「ガリレオ」の時の犯人役はいまひとつだったんですが,今回はかなりよかったですね。

さらに冒頭からある程度伏線をいくつか貼りながらストーリーは進んでいくのですが,最後の最後でぎゅっとまとめるやり方はウマいと思いましたね。

逆に「ん?」と思った点は,真下夫婦の落ち着きぶりがヘンでしたね…。 子供が誘拐されてあんなに落ち着いてるというか興味がなさげな両親は見た事がありませんね…。

それとシリーズ最終作ということもあってか,最後が少しだらだらと長いかなと感じました。 もう少しきちっとサラッとまとめて欲しかったですね〜。

ただこれを見た後,またテレビシリーズを見たくなりました! 特にいかりや長介の和久のキャラクターがあるとやっぱり全体に厚みが出るので。

今回はLAの日系ケーブルテレビの試写会イベントの抽選に当たったんですが(こんなのに当たったことは滅多にないのですっごい嬉しかったです),普通日本の映画館ではあまり声を立てて笑う人って多くないと思うんですが,今回はそこここで笑いがあがるシーンが多かったですね。 日本人が多いのに笑いがあがるのは新鮮でよかったです。

数回前に「テルマエロマエ」がなかなかいいと思ったんですが,今作も結構よかったですね!! もう一回見てもいいかも。 (自分が邦画をこう褒めるのはあまりないんですよね…)

TOEIC 730???

最近,Yahoo Japanで就職活動と求められるTOEICスコアに関する記事を見つけました。 このブログでも何度かこのテーマで書いた記憶もあるのですが,また飽きずに書く事にします。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121121-00007844-president-bus_all&p=1

タイトルに「TOEIC 730以上で語学力を評価」とあり,武田製薬(ここは海外人材育成にかなり力を入れている)でも730以上のスコアを応募条件に取り入れるとありますが,正直何故730という中途半端で,どちらかというと特に高くもないスコアで設定するのか分かりません。

語学や留学,教育に関して海外でずっと携わって来ているものから見ると,730なんて独学のレベルです。 もっと言ってしまえば,730には価値はないと言いたいくらいです。 ましてや会話力の観点からすると「多少の会話が出来るのかな?」というレベルです。 到底海外のパートナーたちと対等かそれ以上に英語のみでやり取り出来るレベルではないでしょう。 もっとも15年や20年前のように採用後にもっと英語力を上げさせるような教育やトレーニングを授ける心づもりが企業側にあるのであれば話は別ですが,最近の企業の動向や余裕のなさなどから見ると,到底そのような意図があるとは思えません。 以前よりももっと即戦力の人材を期待しているはずです。

そもそも「何故未だにTOEICなのか?」という壊れたレコードのような問いは依然として残るのですが,それはさてきおきTOEICで英語力を測定し,英語のみでの海外とのやり取りなどの期待をするのであれば少なくとも850前後はないといけないでしょう。 このくらいであれば,私の経験からいっても本来のTOEICの目的であるコミュニケーションが伴うレベルであるかと思います。

このTOEIC偏重の傾向は昔からあるわけですが,人材を求める側に海外と事を進めるためのスキルや英語力がどの程度必要なのか,実感として分かっているのでしょうか? もちろん現場側と確認した上で設定を行うのでしょうが,数字以外の部分でTOEIC730がどの程度の実力を指し,英語のみで仕事をするために求められるレベルがどの程度必要なのかということが分かっているのだろうかと思います。

ここで大切なのは「英語でコミュニケーションが取れる」ということと「英語で仕事の場面で相手を説き伏せ,有利な条件でことをすすめるスキル」には格段の差があるということです。 単に接客をする程度であればコミュニケーションが取れるだけでいいと思いますが…。

2ページ目では色々な学校(主に立教)の状況や対策などがあり,独学で960を取った学生さんの話もありますが,やっぱりこのくらいの意識の高さでないといけないと思います。 最近では山梨大が2015年を目処に授業を全面的に英語に移行とありましたが,そのくらいどんどんやればいいと思います。 大学側も生徒獲得に必死なので,このくらい極端な改革をしていく必要があるし,それにこの英語力を絡めていくというのは学生の質を高めていく上でも有効だろうと思います。 英語のみの授業を取っていくことが就職活動への準備(英語力のみに限っていえば)にもつながっていくので,通常通り4年で卒業できれば,間に英語力を高めるために「休学留学」をしなくても済むようになります。 つまり人材育成の準備期間(=大学在籍期間)で余分な時間がかからずメリットがあるわけです。

現在,私の仕事では主にアジア全般の学生のニーズに触れる機会が毎日あるのですが,TOEICを重視しているのは日本と韓国,それと台湾くらいのものです。 その中でも韓国は最近ケンブリッジ英検へ興味が移ってきています。 TOEICよりもレベルも高いし,英語力測定もより正確,かつヨーロッパを中心に広く認知されているからです。 またIELTSは依然としてほとんどの英語圏で採用されています。 進学が目的の人はやはりTOEFLとIELTSですね。

また日々留学生に触れていると,日本の留学生と他国の留学生の意識の差にいつも愕然となります。 もちろん日本以外の留学生もいわゆる遊学の人は多くいますが,「英語が話せるようになりたい」ということが最終目的で留学を考えているのは日本くらいのものではないかと思います。 これは留学が一般的になりはじめた80年代からずっと変わっていません。 もちろん1,2ヶ月くらいの短期留学であればそれでもいいと思います。 が,大学生の休学留学(最近のトレンド)であれば,もっと意識を高くもち,一般会話くらいはダッシュで終わらせ,何か本当に身になるようなことを成し遂げて帰国するくらいのつもりでないと時間とお金のムダになるだろうと思います。

つまり目標を大きくかつ遠くに設定しておけば,仮にそこに到達しなかったとしても一般的な英語力程度は簡単に身に付くということです。

幕末から明治にかけて日本は人材を海外へ送ってきました。 海外の列強に支配を受けないために日本が強く独立しないといけない状況に追い込まれていたからですが,このままでいくとアジアの他の国からの経済支配の下に置かれかねません。 現に中国には経済規模で抜かれていますし(中国の経済に関する報告が正確なのか?という疑問はありますが)韓国企業はクルマやIT,携帯や電化製品の分野で抜かれかねません。

繰り返すようですが,日本の英語に対する意識は80年代や90年代からまったく進歩していません。
それに他のアジアの国からも意識の面では大きく遅れをとっています。 留学や教育の結果が出るのは数年後から10数年後です。 他国との繋がりの中で今後の日本の立場がかなり懸念される状態です。 今の大学生やこれから大学生になる人たちの意識を早急に変えて行く必要があるでしょう。

借りぐらしのアリエッティ The Secret World of Arrietty

スタジオジブリの「借り暮らしのアリエッティ」です。 宮崎駿が監督かと思ったら企画だけだったみたいですね。 監督は別な人です。

本を原作にしたものですが,舞台がもとはイギリス。 それを日本へ舞台を移し,病弱な少年との出会いが話の核になっています。

古い家の台所の下に住み、暮らしに必要なものはすべて床の上の人間から借りてくる借りぐらしの小人たち。そんな小人一家の14歳、アリエッティは、好奇心と伸びやかな感性を持つ少女。だが、人間に見られないよう、目立たないよう、つつましさと用心深さを求められる毎日を送っていた。 そんな時,その家に移って来た少年に姿を見られてしまう,というストーリー。

全体的にはかなり静かな映画です。 音楽も割と静かなもので,ストーリーも淡々と進んで行きます。 周囲に仲間がいない孤立した小人の家族と,両親から半ば見捨てられ,生き死にを分ける手術を間近に控えた少年という,どちらも絶滅(=死)に向かって進んでいるという点では似ている両者ですが,映画全般としては盛り上がりに欠けた作品と言わざるを得ません。

かといって,それが悪いということではなく,フランス映画のように淡々と進んでいき,かつエンディングはあさりという,ある意味少しユニークな作品だと言えるでしょう。 その観点からいうと,従来のようなジブリ作品やハリウッド映画のような盛り上がりは期待しない方がいいと思います。

小人の家族が人間世界の家に入り,色々なものを「借り」にくるのですが(実際はドロボー),彼らの目線から見た人間世界の巨大さなどは,すごく表現がウマく関心しました。 あたかもグランドキャニオンの崖っぷちにたつ人間が自分のちっぽけさを実感するのに似ています。 またこの家族が人間の家の壁などのウラに,自分たちの家や階段などを作り上げているのは,ジブリは相変わらずウマいと思いましたねー。

ただ見ているうちにどうしても感じてしまうのは,小人家族を目の敵のようにしている家政婦さん(樹木希林さんが声をやっていて,キャラクターと本人の印象がよく似てる!)この人がなんでここまで小人退治にやっきになるのか,という動機付けのようなものが弱く感じたため,「なんでこのおばさん,ひとりでいきり立ってんだ?」と思ってしまいました。

今回ちょっと残念なのは,ジブリ作品に必ずある「大勢が大声で笑うシーン」と「空を飛ぶシーン」がなかったことです。 ジブリ映画のこの「大笑いシーン」は僕は大好きで,いつも見ると爽快な気分になるんですよね。 それに空を飛ぶシーンはどの作品をみても痛快で,いつもジブリ映画を見終わった後には「あー,空を飛びたいな〜」と思っています。 この二つがなかったのはかなり痛かったですね…。

正直,この「アリエッティ」はかなり期待していたので,ちょっと残念な点が目立ちました。