ハリーポッターと死の秘宝 パート1 Harry Potter and the Deathly Hallow Part 1

世界的ヒット小説を映画化した最終章の前半です。 (って誰でも知ってると思いますが)
今回は,小説が長くしかも内容が盛りだくさんなので,全後半に分かれています。 また当初は3Dで作成されたようですが,技術的なことなどがあり,最終的には2Dで上映されているという色々と話題の多い作品です。

17歳に成長し、ホグワーツ魔法魔術学校の最終学年7年生となったハリーは,親友のロンとハーマイオニーと共に、宿敵ヴォルデモート卿の魂が宿った分霊箱捜しの旅に出る。 その課程で,慕っていたダンブルドア校長の暗い過去も分かってしまい,分霊箱がどんな形をしているのか,どこにあるのか,どうやって壊すのかなど山積する謎に苛立ちが募りついには仲間割れが起きてしまう,というストーリー。

全後半に分けたのはかなりいいアイデアでした。 最終章は前作までの謎に加えて新しい謎も加わり,さらにハリーたちの人間模様なども盛り込まれているという内容です。 これを前作(特に4,5,6作目)までのような手法で作っていたら,世界的ベストセラーのハリーポッターの映画が,世紀の駄作になりかねないところでした。 お陰で今まで取り残されて来たキャラクターも自然に入ることが出来,それでもいいテンポで映画を進めることが出来ました。

雰囲気はゴシックホラー的なものを上手に醸し出しており「怖い」映画に仕上がっています。 ハリーたちが魔法界全てからの追求を逃れて地下に潜り,闇の世界のヴォルデモートを倒す可能性のある唯一の品,分霊箱を探しているのだから,当然怖くてスリルたっぷりでなければいけません。 いい仕上がりになってますよ〜。

それにハリー,ハーマイオニー,ロンを演じるいつもの3人は,今回映画の半分近く3人だけのシーンなので,とてもいい演技をしています。 最後の方のロンの妄想シーンでハリーとハーマイオニーがxxするところがあるのですが,これも結構真に迫ってます。 当然,周りを固めるイギリスを代表する俳優陣も最高の演技で花を添えています。 やっぱり歴史に残るハリーポッターシリーズに出られるということは,俳優として名誉のあることだそうです。

自分の中では1作目がベストだと思っていますが,それに匹敵するものがあると思います。 当然,全後半に分かれているので,後半のパート2が来年夏に公開になってから最終的な判断はしますが。

全体的には85点くらいつけられると思いますが,数点気になった点があります。
- ハリーとハーマイオニーのダンスのシーン。 原作にないこのシーンを入れた意図も十分分かるし,効果も十分分かるのですが,唐突すぎて一瞬???となってしまいました。
- 説明的なセリフ。 ドビーの最後のシーンで,ハリーが「魔法を使わないでちゃんと埋葬するんだ」と言いますが,ちょっと説明的すぎるかな,と。 ハリウッドの行間を読めないバカな観客向けに入れたセリフだとは十分分かっていますが,あまりこういうセリフをあからさまに入れてしまうとちょっと…。
- ジニー。 ハリーの恋人のジニーウィズリーですが,尼さんのように映画では描かれていますね。 地味〜な服,いつもマジメな顔など。 原作の中では,学校でも超人気があって,ユーモアタップリ,魔女としても優秀,溌剌とした女の子であるはずなのに…。 前作と今作で,ハリーとキスしたり会話したりするシーンがありますが,つきあい始めのカップルというよりも,分かれる直前のギクシャクしたカップルという方が正しい気がします。

とはいえ,か・な・りお薦めの一本です。 ですが,一応原作を一通り読んでおく必要があるでしょう。
やっぱりドビー,いいですね〜。

ハリーポッターシリーズを子供の本だという人を時々見かけますが,あまり同意できません。 確かにはじめは10歳前後の視点で,その年齢層をターゲットにして書いた作品であると理解できますが,学年があがるにつれ,文体や視点などもその年齢層に合わせたものに変わっていきます。

それにシリーズを通してのテーマは友情,勇気,思いやり,自己犠牲などと数を上げればきりがありません。 確かに子供に向けてのメッセージかも知れませんが,子供のレベルに妥協してというスタイルではなく,ひとつ上のレベルにひっぱりあげるようなメッセージを投げかけています。

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