アカデミー賞 Academy Awards

さあ,今年もついに昨年一年の計,アカデミー賞がやってきました。

今年は例年よりも色々と最優秀賞候補作品を見る事が出来ました。ひとえに海外出張のお陰ですね…。 下記リストの半分くらい飛行機で見ました。

私はだんとつ「英国王」だと思いますね〜。 普通,こういう皇室ものって女性のファッションショーか恋愛ちっくなストーリーが軸になりがちですが,今作は完全にストーリーと演技で成り立っている,久々の正当派作品です。 逆に,ここのところCGなどでハデな映画ばかりなので,ここらでガツーンと正当派で行って欲しいです。

対抗馬は一般ではソーシャルネットワークと言われているようですが,正直これは私の観点で見ると中途半端な映画な気がします。 ドキュメンタリーとしてはビジネスやITの世界への突っ込みが足りないし,ドラマとしてはキャラクターへの踏み込みが全く足りません。 フェイスブックを知らない人から見れば「へー」で終わってしまうような作品です。

127時間は残念ですが,論外だと思います。 インディーズのような映画ですね。

個人的にはインセプション,かなり楽しみましたが,アカデミーはちょっと…というカンジです。 それにブラックスワンも楽しめましたが,アカデミー賞にはちょっと何かが足りないかな,と。

トイストーリーはアニメで,ヘンな意味で保守的なアカデミーには向かないでしょう。

ちまたではトゥルー・グリットがよかったという声を多々聞きますが,意外にダークホースかも知れませんね。 私は,西部劇系はあまり好きじゃないですし,コーエンブラザーズもちょっとソリが合わないので,多分見ないと思います。 それに西部なまりの英語が聞き取れるとも思えませんし…。

ま,今日の結果が楽しみですね〜。 でもアカデミー賞自体は,ショーとして楽しめるものであって,最優秀賞作品が本当に優秀かどうかは別問題です。 やっぱりビジネスですから,ビジネス界の政治的駆け引きも露骨にありますしね。 私は「ベストムービーは自分で決めるから,人にとやかく言われたくない」というスタンスです(笑)。

英国王のスピーチ http://tomyam7jp.blogspot.com/2011/01/kings-speech.html

ソーシャルネットワーク http://tomyam7jp.blogspot.com/2011/01/social-network.html

インセプション http://tomyam7jp.blogspot.com/2011/01/inception.html

トイストーリー3 http://tomyam7jp.blogspot.com/2010/10/32.html

ブラックスワン http://tomyam7jp.blogspot.com/2011/02/black-swan.html

127時間 http://tomyam7jp.blogspot.com/2011/02/127-127-hours.html

ザ・ファイター
キッズ・オールライト
トゥルー・グリット
ウィンターズ・ボーン

ブラックスワン Black Swan

ナタリーポートマン主演のアカデミー賞候補作品。

バレリーナ、ニナ(ナタリー・ポートマン)は、踊りは完ぺきで優等生のような女性。 ただしいつも自分に対しての自信が足りず,元バレリーナの母親と暮らしている。 トーマス(ヴァンサン・カッセル)は、花形のベス(ウィノナ・ライダー)を降板させ、新しい振り付けで新シーズンの「白鳥の湖」公演を行うことを決定する。そしてニナが次のプリマ・バレリーナに抜てきされるが、気品あふれる白鳥は心配ないものの、狡猾で官能的な黒鳥を演じることに不安があり…というストーリー。

サイコスリラー的な意味では結構気に入りましたね〜。
それに色々と評価されるだけあって,ナタリーポートマンの演技はなかなかよかったです。 バレエに関しては素人ですが,普通のダンス映画のように踊っているシーンがプロモーションビデオのように音楽とダンスだけにならなかったのはよかったです。 トウシューズが床にタッチする音や床をこする音などがそのまま残っていたのは,すごくリアルでよかったです。

それに最後の公演のシーンのバレエはすごく迫力がありました。 この映画でのテーマ「自己を解放して,観客を(性的に)魅了しろ」を最後の最後でニナがモノにするところはよかったです。

それに自己が抑圧されているニナの心をよく表しているのは,知らず知らずのうちに自分を傷つけてしまっているところなんかは,心理学的にもフィットしててよかったです。 ただし,セックスや性的な妄想は,確かに自己の解放につながっているものの,少々多すぎてハナシの軸からずれてしまっていたように思います。

それと前半は,二重人格的なストーリーなのかなとも思うシーンがいくつかあったのですが,結局そうではないので,ちょっとそのあたりが不一致なカンジがすこーしだけ残りました。

演技と映像面ではかなりよかったですね〜。 ただしアカデミー賞の最優秀賞は難しいでしょうね。
なかなかお薦めです。

アンストッパブル Unstoppable

デンゼルワシントンの最新作,電車アクションものです。

操車場に停車中の最新式貨物列車777号が、操作ミスによって走り出す。大量の化学薬品とディーゼル燃料を搭載した777号を止めるべく、鉄道会社と警察は手を尽くすが、列車はさらに加速していく。リストラされて退社する日を待つだけのベテラン機関士フランク(デンゼル・ワシントン)は、この日初めてコンビを組んだウィル(クリス・パイン)と共に暴走列車に立ち向かうというストーリー。

カメラワーク,よかったですよ〜。 実際のスピードは50マイルや70マイルなので,高速道路を走るクルマと同じくらいか少し遅いくらいですが,カメラワークがいいのでもっと早く見えますし,たとえスピードが遅くてもこの電車は停まりそうもないと感じさせてくれます。

それにテレビで暴走列車の実況をやっていて,現場とうまく連携しているので,臨場感はなかなかありますね〜。

しかし!!!!!
この映画はコメディにジャンル分けされるべきです。
というのは,テレビのニュースでこの事件の実況を見てる人たちが「行け! フランク!」とか「おまえならできる,ウィル!」とかフツーに口に出して言ってるのは,思わず声を出して笑ってしまいましたね〜。

それにフランクの娘がHootersというTシャツと短パンの女の子にサービスさせるレストランで働いているのですが,「行けーーー! ダディ,イエイ!!」みたいなのを見たときは大声で笑ってしまいました。

最後に,それぞれのキャラクターのその後がちょこっと出るのですが,そもそもこの電車を暴走させた技師をメインキャラクターの他に特別に出し「現在,ファーストフード店にて就労」とか出すものも,どう見てもギャグとしか思えません。

なかなか楽しませてもらいました。 確かに実話っぽい臭いはありますが,映画としてはちょっとね…。
ヒマなら見てもいいかも。 マジメに見たら損します。

127時間 127 Hours

アカデミー賞候補「127時間」です。

ユタ州のブルージョン・キャニオン。ロッククライミングをしていたアーロン(ジェームズ・フランコ)は落石事故に見舞われ、右腕を岸壁と岩の間に挟まれたまま身動きが取れなくなってしまう。 助けを呼ぶ術もなく5日間が過ぎ、水も章句料も尽き果てたまま打つ手がなくなってしまう…というストーリー。

ジャンル的には,まさに自分向けの映画だッ!と思ってみたのですが,正直がっかりです。 ゾンビシリーズや「ソウ」シリーズをはじめ,究極の場面に接したときに,人はどんな反応をしめし,どんな決断を下すのか,というのがとにかく好きな映画ジャンルです。

シチュエーションは確かにそうなんですが,どこからも見えない岩の間に挟まれている状況ですが,回想や妄想,独り言が多く,そんな砂漠の真ん中でひとりぼっちで取り残されているカンジが全然しないんですね〜。 逆にごちゃごちゃした印象を受けてしまいました。 ホントに127時間経ったのかな?みたいな。 正直,トムハンクスのキャストアウェイの方がよっぽどいい出来です。

スラムドッグミリオネアの監督の作品のようですが,正直残念ですねー。

ただし,自然の描写や非常にきれいでしたね。
それとジェームズフランコの演技はなかなかよく,自然好きなカンジやアウトドア好きな人の演技がとてもよかったです。 スパイダーマンシリーズでのエリート坊ちゃんとはまったく違う演技で,正直関心しました。

見てもいいとは思いますが,正直終わったときには「なーんだ」で終わってしまうと思います。
アカデミー賞の最優秀賞はムリでしょうね〜。

ナイト&デイ Knight and Day

トムクルーズとキャメロンディアスがダッグを組んだアクションコメディ(?)映画。
なぜ(?)が着くかは後ほど。

ジューン(キャメロン・ディアス)はある日、不思議な魅力のある男(トム・クルーズ)と同じフライトに乗り合わせる。 お互いに惹かれあうものの,その男はジューンが夢に見た理想の男性どころか、重要任務を負ったスパイだった。予想外の裏切りや暗殺者による執拗な攻撃がどんどん強くなってくる中、ジューンは彼の秘密が少しずつ分かってくる,というストーリー。

まず冒頭の飛行機のシーンはいいですね〜。 コミカル,かつアクションもハデ,セリフも気が利いてて後半への期待がどんどん膨らみます。 ジューンがトイレで身だしなみを終えて出て来て,すぐにキスしちゃうのは妄想かな,と思いつつ,妄想じゃないっていうのはちょっと???だし,あまりリアリティがないとは思うものの,コメディだからよしとしましょう。

トムクルーズとキャメロンディアスのコンビもなかなかグーで,結構息が合ってるカンジがしていいですね。 またストーリーもどんでん返しがあったりとなかなかこってます。

一方,コミカルなセリフもやり取りはずっと続く訳でもなく,「あれっ? これってコミカルなセリフのつもりなのかな?」というのが何度もあり,だんだんと???が募っていきます。 また明らかに後半への伏線を張ったセリフもあり,だんだんと終わり方とそのセリフが見えてきたという気になっていきます。 (映画の見過ぎか?)

最後の悪者との対決も「あれっ??? 悪者,爆発してるけど終わり?」みたいなカンジです。

つまりトータルでいうと,この監督何がやりたいのかよく分からない,ということです。 いい役者を使ってて,素材もいいのにもったいない,という気持ちでいっぱいです。

トムクルーズとキャメロンディアスのファンだったら見ておいた方がいいでしょうね。 彼らの魅力はそこそこ発揮されてます。 もちろんトップガンやメリーに首ったけにはまったく及びませんが…。