オープンウォーター Open Water

インディーズチックな映画で,海に置き去りにされる恐怖をリアルに描いた作品です。
限定上映など,規模の小さい扱いだったのですが,最終的には続編(登場人物などがかぶることはないようです)まで出来たようで,前から観たいと思ってたんですよね。

ダイビングを楽しんでいたカップルが海面に上がってみるとボートが彼らを置き去りにして岸に戻っていた。しかもそこに無数のサメが現れというストーリー。 ストーリー的にはシンプルこの上ない設定なのですが,そもそもなぜ海に置き去りになってしまうのかというその経緯がまたリアルで怖いです。 リゾート地にありそうな,すっごくありそうな単純なミスです。

海のシーン以外は,全てデジカムか何かで街とそこの人の風景をなんとなく流して撮ったようなシーンばかりで,はっきりと海のシーンだけがメインだと分かります(いい意味で)。 海に何時間もプカプカ浮かんで,来るか来ないかも分からない助けを待つ心情が痛いほど分かります。 そこに人的判断ミスもあり,体力の衰弱も合わさってどんどん悪い方へと流されていきます。 実話に基づいた作品のようですが,ぜっっっったいにこのシチュエーションには入りたくないですねー。

まっくらな夜の海に雷が走るところは,さらに恐怖をあおります。 最後のシーンはドキッと驚きますが,多分自分でもそうするかも,と思ってしまいます。 80分ちょっとと短い映画ですが,ぜひ観て欲しいですね。 お薦め!!

Date Night (原題)

The Officeなどで有名なスティーブカレルの最新コメディ映画です。 日本ではまだ公開は決まっていないようですね。

子供も産まれてマンネリ化した結婚生活を送っているカップルが,新しい気分でデートしようと行ったレストランで,他人の予約をその人に成り済まして横取りしたことから,マフィアを巻き込んだ事件に巻き込まれてしまうというコメディ。

この映画で何よりもよかったのは,結婚したカップルの口喧嘩の典型的なパターンをキッチリ押さえているところですね。 思わず「あーあるある!!」と思いながら笑ってしまいます。 次に目新しく面白かったのは正面衝突したクルマが離れないので,向かい合ったまま2台連なったままで(片方のクルマは後ろ向きになってる)ニューヨークの街を走り回るというところです。 これは新しいですね〜。

それと奥さん役のティナフェイですが,コメディウマいですね〜。 ストリッパーのマネをして踊るところや,典型的なニューヨーカーを装おってレストランに行くところなどはかなりグーです。

ストーリー的には「あれっ? なんでこうなるのかな?」というところが最後に一部分だけありますが,ぜんぜん問題にはなりません。

日本に来るようなら,是非観て欲しいですね!!

デッドフライト Flight of the Living Dead

ゾンビものですが,かなり趣向が面白くて飛行機の中という設定です。

悪天候の中、様々な乗客を乗せてロスからパリへ向けて飛ぶジェット機。 その貨物室には防護服と銃で武装した護衛によって監視されている特別貨物があった。 だが乱気流の衝撃で特別貨物のフタが開いてしまうと、中から現れたのはひとりの女性。 だがその人物こそ、臓器を蘇らせる新種の細菌によっていわばゾンビと化した女性だった。 襲われた者は次々とゾンビ化し、機内はパニックに包まれる。 保安局員、刑事、護送中の詐欺師、スチュワーデスをはじめとする乗客乗員は、ゾンビとの壮絶な死闘を繰り広げていく,というストーリー。

か・な・り笑えます!!
ストーリーなんてどうでもいいんですが,この映画は間違いなくギャグ映画ですね!
ゾンビをやっつけ方で声を出して笑ってしまったシーンが数回あります。 傘やゴルフパターとかです。 (詳しくはDVDで見てみてくださいね) それと巻き戻してまで見てしまった爆笑シーンがあります。 老婆のゾンビにかじられた詐欺師。 「ぎゃああああ!!!! ぎゃあああああ!!!!! ぎゃああああ????? あれっ? このゾンビ,歯が無いじゃん」 老婆の入れ歯が落ちて歯茎だけではぐはぐしてたんですねー。

これ以上言うことは有りません。 もちろんショーンオブザデッドなどとは違うタイプの笑いですが,ひまーな時にはお薦め! あくまでも期待してはいけません。 期待しなければかなり笑えると思います。

崖の上のポニョ Ponyo

スタジオジブリの「ポニョ」です。 今更ですがやっとこちらでDVDで出たので見ることができました。

5歳の少年そうすけは、海辺の小さな町のがけの上の一軒家で暮らしていた。 市街地から外れた彼の家の周囲には何もさえぎるものはなく、ただただ青く美しい海と空が広がっている。 そんな中で礼儀正しくのびのびと育っていた。 仕事で留守になりがちな父親の不在を寂しく思っていたそうすけだったが、ある日、浜でさかなの子ポニョと出会うことでその寂しさも忘れ、やがて2人は強いきずなで結ばれていくというストーリー。

やっぱりジブリの手描きアニメはいいですね。 最近のCGにはない暖かさというか,いい意味での雑さみたいなものがあります。 音楽はいつもどおり久石譲。 音楽,よかったです。

裏話として,スタッフの一人に子供が産まれるという状況でこのストーリー作りが進行していたようで「5歳くらいの子供に向けたハナシを創ろう」というスタンスでこの映画は創られたそうです。 そのおかげでストーリーはシンプルなのですが「世界が崩壊」というプロットがすごく弱かったように思います。 ポニョのお父さんが「世界の破滅を止められるのは君だけだ」みたいなことを言うのですが,「あれっ? そうなの?」と思ってしまいました。

それと今回宮崎映画にしては珍しく,空を飛ぶシーンがありませんでしたね。

それと海の水の描写ですが,水がスライムみたいな重い水に見えたのが気になって仕方ありませんでした。 その変わりに魚のカタチをした波の上を走ってくるポニョのシーンがある意味,この映画の一番盛り上がるところではないかと思います。 それとお母さんのリサ,かっこいいお母さんです! よかったですねー。

見てない人はあまりいないんじゃないかと思いますがお薦め!

ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom

小説で大ヒットしたという「ブギーポップは笑わない」のアニメ版です。

後で知ったのですが,かなりの量の小説のシリーズのたった一部で,さらにスピンオフ的な位置づけのようなので,見終わった後でも全体像がなんとなーく見えたかな?という程度で,ストーリー全体を理解するのは到底ムリでした。

なのでここではあらすじは書きません。 というより書けません。

ブギーポップという死神または世界のゆがみを直す存在を軸に,いわゆる「敵」が普通の高校生や一般社会に入り込んで行く様を描く作品なワケです。 (多分この理解も正確ではないような気がします) それにそれぞれのキャラクターが特殊な能力を持ち,それゆえに身を滅ぼしたり,運命が変わっていったりするところのストーリーとしての描写は興味をぐっと惹きますね。

それと各エピソードは,それぞれの登場人物を中心に描かれているのですが,そのエピソード中に関わった人物にもそれぞれのストーリーがあり,それを重ねて見て行くことで,最後にストーリーの全体像が見えてくるという手法です。 これはなかなか上手に出来てましたね。 洋画でいうと「クラッシュ」という作品が数年前にアカデミー賞を取りましたが,同じような手法です。

小説が元々なので,小説までも読んでもいいかなと思う人はこのアニメも十分に楽しめるかも知れません。 そうでなければ「なんだこりゃ?」で終わる可能性大です。

コララインとボタンの魔女 Coraline

今年のアカデミー賞でアニメーション部門にもノミネートされていた作品です。
主役の女の子,コララインに子役の頃から演技力を発揮していたダコタファニングが適用されてます。

コララインは両親と新しい街に引っ越して来るが、二人とも仕事が忙しくてちっとも自分にかまってくれず不満に思っていた。 一人で外出すると、ワイビーという少年と黒猫など新しい近所の隣人に出会いながら,それと平行して,退屈しのぎに築150年のアパートの探検を始め、その最中にレンガで封印された小さなドアを発見する。 その向こう側には「もう一人のお母さん」と「もうひとりのお父さん」がいるのだが…というストーリー。

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セリック監督だと後から知りましたが,それで納得する部分が多々ありました。 見ている最中も「ナイトメア…」に似てるなー,と思いながら見てました。 ということは,映像的にはあまり目を見張るところはないかも,と言ってもいいかも知れません。 それに盛り上がりが中盤直後にもあるので,何となく間延びしている間が否めません。

ただ主人公のコララインはキャラが立っているし,ダコタファニングもいい声の演技をしてると思います。 ただ近所の隣人たちのデザインはなんとなく「ナイトメア…」を思い出させるモノなので,やっぱり目新しさが感じられない気がします。

ハナシのネタに見てもいいかな,というところでしょうか。 特にチカラを入れてお薦めはしません。

モンスター Monster

シャリーズセロンが,そのきれいな外見を役に徹するために徹底的に改造(醜く)したことで話題の映画です。
実在する女性の連続殺人鬼アイリーンウォーノスを題材にした映画で,彼女の簡単な生い立ちなども含められています。

娼婦アイリーン(シャーリーズ・セロン)はある日、酒場でセルビー(クリスティーナ・リッチ)という少女と出会い、お互いに愛を感じる。 再会することを約束するがセルビーの身内に激しく反対され、セルビーは家を出る決意をする。 元々爆発的な性格のあるアイリーンは,ある日売春をしている時に,虐待され反動で相手を殺してしまう。 セルビーを失いたくない一心で殺人を繰り返しながら,お金を手に入れいくというストーリー。

「テルマアンドルイーズ」もこの人物をある程度モチーフにした映画らしいのですが,モンスターの方がより実際のケースに近いようです。 お金を得るために7人もの人を次々と殺し,それを正当化していくところがこの映画の中で一番「モンスター」を感じさせるところでした。 また全編を通してのシャリーズセロンの演技はまさに絶品です。

アイリーンがセルビーに愛を感じ,精神的に頼るというのは演技としては分かるのですが,セルビーがアイリーンに興味と愛を感じるのが,映画の中では感じられなかったのが唯一の弱点ですね。

もちろん普段は彼女はその美貌が売りなワケですが,今回の演技で完全に印象が変わりました。 僕の中では「演技派女優」のカテゴリーに入りましたね! ガールフレンドを演じるクリスチーナリッチーは,アイリーンのガールフレンドでただただアイリーンに付いて行くという役どころですが,演技的には「スリーピーホロウ」の女の子の延長といったところです。

途中アイリーンが新しい人生を踏み出そうと色々な仕事の面接を受けますが,教育がないこととその粗野な態度と言葉使いで次々に不採用になっていきます。 そして最後に行き着く先は,今まで通りの売春という行為。 アメリカのような社会では,学歴差別もありますし,また幼児虐待や幼児性愛なども問題も多く健在しています。 それらに対するアイリーンの怒りが彼女を次の殺人,そしてその正当化へと駆り立てて行くという図式です。 あまりにもアメリカの暗部をざっくりと抉りだしているので,この観点でこの映画を見ても面白いと思います。

あるブログでアイリーンウォーノスを調べた人がいるようなので,リンクを貼っておきます。
http://blog.livedoor.jp/maron_shinobu/archives/50686223.html

シャリーズセロンの演技も必見ですが,映画全体で見てもお薦めです!!!

アイズ The Eye

ジェシカアルバ主演のホラー映画(???)。
アジアで作られたホラー映画をハリウッドでリメイクしたものだそうです。 (またか…) ジェシカアルバは今までの健康的な魅力を全面には出さず,演技力で勝負といったカンジの映画です。

幼いころから目の不自由なバイオリニスト、シドニー(ジェシカ・アルバ)。 姉ヘレン(パーカー・ポージー)の勧めで角膜移植手術を受けた彼女は、心理療法士ポール(アレッサンドロ・ニヴォラ)のもとで視力を回復させていく。 しかし、マンションを徘徊(はいかい)する少年や突然襲い掛かる女性など、周囲の人には見えない不可解な光景を目にするようになり…というストーリー。

この映画で何よりも印象に残ったのは,盲目の人の世界などを本当によく勉強したんだなという点です。 水をコップに注ぐことひとつとっても,コップを抑える手の指をコップの中へ入れて,一杯になる前に指で水の水位を感じて止めるとかです。 それに視力の回復中の時期でも,医者のアドバイス(それまで耳や鼻で感じていた信号を目から受け取るようになったので,改めて何が触っても大丈夫なのかとかを学ばなくてはならない)がとても的を得ていると思いました。

映画のストーリーとしては,Xファイルチックなので,それほど真新しいとは思いませんが,最後のシーンのどんでん返しはなかなかよかったです。 それに最後のオーケストラのシーンでの終わり方もなかなかよかったですね〜。

ホラーというジャンルで語られることが多いようですが,ホラー映画だとはぜんぜん思いませんでした。 サスペンス+ドラマ,というカンジですね。 ぜんぜん期待していなかっただけに満足度大です。 お薦め!!