東大新学期改革

ありがたいことに日本にいる父が面白い新聞記事をいつもスキャンして送ってくれます。
仕事柄,国際関係や留学関係に関連した記事が多いのですが,今回は東大の9月新学期開始と国際的な人材育成に関しての記事です。


東大は,入試の時期は変えずに新学期開始時期を国際的な基準である9月にしようと考えています。 メリットとしては国際的な入学時期に併せることにより,学部留学(語学留学に対して)をしやすくすることは可能だと思います。

この記事によると,入学と卒業の時期はまったく変えずに始業時期を秋にするという妥協案でまとまるのではないかというのですが,まったくその意味が分かりません。 つまり入学自体はする,でも授業開始は秋から。 その間の約5ヶ月間は学生は何もしないということなのでしょうか? また授業は何ヶ月も遅く始まり,卒業は3年半でさせられる,ということでしょうか? それこそ国家試験などの対策に割く時間が半年も削られるということでしょうか? 国家公務員などの質が下がるのでは???

それはともかく,今回の記事の中盤から筆者の提案があります。 東大試験に「英会話」を導入してはどうか?というものです。 確かにこの筆者が言うように,東大が先頭を切って,英語や国際化に対して本格的に腰を入れてくれば,6大学をはじめ周囲がそれなりに従ってくるだろうとは思います。 (のろのろとしたスピードだとは思いますが)

ただこの記事を見た瞬間「今更まだ「英会話」?」と思ってしまいました。 なおかつ「全試験の中の30%程度の比重」などと科目の一つとして扱いたがっているのが驚きです。

東大を受けようという学生の質がまだまだ過去のレベルとそれほど変わっていないと仮定するならば,「英会話」レベルの会話力などなんなく身につけてくるはずで,本来の英語の実力ではなく,テストを器用にこなすだけの賢さは持っているはずです。

今勤めている学校にも東大生が去年来ていましたが,勉強の要領というかコツを知っているので,力を付けるスピードはやはり早いです。 また留学という時間が限られた環境を最大限に活用する知恵やプランニング力もあり「とても器用」という印象でした。

それはさておき,以前から何度か取り上げていますが,英語は科目のひとつと扱っていたり,「英会話」などと特別視しているようでは,到底先はまだまだ長いです。 確かに段階的に変えて行かなければ,という考え方も分かりますが,他国の意識レベルからするともう手遅れ的な時期に来ています。 なにしろ日本は80年代から国際化に関してはまったく進歩していないのですから。 「国際化」という言葉が「グローバル化」となり「ボーダーレス」とスライドしているだけで,議論の本質や国内の状況はまったく変わっていません。 その間に他のアジアの国ではアメリカやイギリスなどにどんどん留学し,英語で学位を取ったりビジネスを行うことをまったく普通のこととして捉えています。

東大入試に英会話を取り入れるなどと中途半端なアイデアよりは,「東大入試は筆記も願書提出も全て英語にて行う。導入は3年後」とした方がベターではないかと思います。 5年も待つ必要はありませんし,待っているだけの余裕もありません。

もっと現場にいる教授などが外国に出て,実情を分かってくれるのが一番早いのですが…。 国内のペースだけで事を進めるのではなく,国外ともペースを併せるべく動いていかないと立ち後れていくばかりです。 これも「グローバル化」「ボーダーレス化」の一部なんですけどね…。 彼ががまず「グローバル化」していかないといけない,ということなんだと思います。

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